かわち野

かわち野第九集

あとがき

綴り方と話し方のクラブ アイ・マイ・ミー
~「生きるって 素晴らしい!」を実感できる講座~
 代表 重里 睦子

 綴り方と話し方のクラブ〝アイ・マイ・ミー〟が主催する『生きるって素晴らしい! を実感できる講座』は発足以来十二年となりました。
 決して若者とは言えない世代が集まりましたが、それ故、各々が生きてきた道のりにお互いが興味を持ち刺激を受け、それがまた銘々の生き方に反映されたりしてきました。
 言うまでもなく、全員が一様に年齢を重ね、その間色々変化がありました。喜びごともあり、また、大病を患い手術して、そして元気に回復した人、高齢のためやむなく出席は叶わなくなりましたが、メンバーの一員としてエッセイを書き続けている人などがいます。
 常時仲間を気遣い、支え合い励まし合い絆を深め、まるで家族のような温か味のある集まりです。
 そんな中、誠に残念なことですが、今年一月十六日、津田展志さんが逝去なさいました。享年七十五歳。
 いつも座っていた席には今も尚、優しいお顔をしてそこにいらっしゃるかのようです。〝アイ・マイ・ミー〟発足当時より入会され、最も長いお付き合いでした。
 本号文集⑨には、メンバーが選んだ、津田さんらしい一作を遺作として掲載しました。皆様の作品と共に、是非お楽しみください。
 話は変わりますが、今、チャットGPTが注目を集めていますね。ユーザーが質問を入力すると、AI(人工知能)がまるで人間のような自然な対話形式で答えてくれます。このAIは世の中にある膨大な情報を収集、整理することが得意で、テーマに沿った情報満載の文章を作ることも出来るようです。私たちの日常生活に大いに役立ちそうで、とても楽しみです。とは言いましても、AIはあくまで情報処理の計算機ですので、これまでにない全く新しい表現方法を創り出すことは苦手で、また、心躍る感動や相手への気遣いや思いやりといった人間らしい感情を知ることも難しいそうです。
 先日テレビ(NHK日曜討論)を観ていましたら、『人間らしいということは、深くて温もりのある思考』と、山口大学の小川仁志教授がおっしゃいました。私は思わず共感しました。
 これからも文章や会話といったコミュニケーションに、情報と深い温もりが重なり合うことを期待したいと思います。
      二〇二三年四月吉日