かわち野

かわち野第四集

九度山の秋

徳重 三恵

 地元の地区で月二回開講している「綴り方と話し方」というクラブに私が参加するようになって三年ほどになる。メンバーは多少の出入りはあるものの、講師の先生二名をいれて十一名ほど。
「綴り方」のほうは文字数の制限もなく、書く人は毎回綴って出席している。少数メンバーながら、毎回感心するほど立派な作品が出て、それを全員がそれぞれ感想を述べて行く。
 私はそうそう書いて出席するのではないが、出さなくても叱責を受けることもないし、居心地がいいので手ぶらで出席することが多い。
「話し方」のほうは二、三分の持ち時間で指名があれば話をし、また次の人を名指して進めて行くのだが、これがなかなか難しい。
 いつ、お鉢が回ってくるか分からないので多少のコネタというか、ヒントは手持ちにある方が安心というもの。いずれにしても、受講者すべての人となりがよい。
 そんなメンバーで「一度どこかへ一緒に出掛けよう」との話がまとまり、行先は今年の大河ドラマ「真田丸」の幸村が蟄居した九度山と決まった。十一月九日。
秋の遠足九度山駅で待ち合はす
 参加者の各人が最寄りの駅から南海電車に乗って、待ち合わせ駅で全員が集合した。
 全員十二名。
照る坊主働いてくれ秋日和
 当日がもし雨だったらと心配したけれど、照る照る坊主がきっちり仕事をしてくれたおかげで、おだやかな秋日和であった。
蕎麦どころ込み合うてをり柿紅葉
 あいにく団体客が一足先に入ったために、全員が座れる席が取れなかった。近くに道の駅があるからと、蕎麦屋を後にする。
下見してくれし人ゐて柿日和
 今日の一日の行程をいろいろ準備していただいた山田さんに敬意を。
車椅子押す人を押し秋うらら
 この九度山は山と言うだけあって、けっこうな坂道が続いている。車椅子を押す北池さんの力持ちに感心する。私はただただ見ているだけで何のお手伝いも出来ない。
 せめてものことで、北池さんの背中を後押しただけである。
昼食は芝生の広場秋日さす
分け合うて食べる弁当お茶の花
柿むいて持ちくれし友やさしかり
 蕎麦どころで食べられなかったので、近くの道の駅で各人が、柿の葉寿司とか珍しいアボガド入りの巻き寿司などを買った。
 何だか美味しそうだったので、お互いに少しずつ分け合って食べる。また柿をむいてわざわざ持参してくれた人もいて、その柿の美味しかったこと。
天高し胸突く階を登りけり
 慈尊院の境内から胸突くような階段が目の前に現れる。階段は一一九段。途中で卒塔婆形の町石(一石→一〇九㍍)がある。高野山の上から下に数え一八〇番目になる。
ひるがへる真田の軍旗柿たわわ
あんぽ柿土産に買へる道の駅
神無月なににらみゐる鬼瓦
紀の川の白き川べり水澄める
店ごとに違う値札や笊の柿
山茶花の恥じらうやうに咲きはじむ
短日や主をさがす迷い犬  とても楽しい一日だった。久しぶりの遠足、課外授業もいいものだ。またどこかに行きたいなと思いつつ帰路に着いた。