第四集

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かわち野

かわち野第四集 値段のつかない話 徳重 三恵  「開運なんでも鑑定団」というテレビ番組があり、夫はこの番組が好きである。 意気揚々、自信満々の人が持参の壷や掛け軸を鑑定してもらうため登場する。司会者はこの持参の品がどういう経緯でいまここにあ...
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かわち野第四集 九度山の秋 徳重 三恵  地元の地区で月二回開講している「綴り方と話し方」というクラブに私が参加するようになって三年ほどになる。メンバーは多少の出入りはあるものの、講師の先生二名をいれて十一名ほど。「綴り方」のほうは文字数の...
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かわち野第四集 優しさ2(親の厄介な優しさ) 津田 展志  親の優しさは厄介なものだ。社会人になるまでは、うるさいけれど仕方ないと思う。社会人になっても心配して色々言うことも許せる。だけど、結婚して家庭を持てば子供の考えを優先して欲しい。難...
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かわち野第四集 優しさ1(妻の優しさ) 津田 展志  優しさや思いやりは面倒なものだ。それは、人の繋がりの中でしか生まれないからだ。受け入れる気持ちがなければ優しさも思いやりも苦言やお節介にしかならない。今まで優しくされた事も思いやりも沢山...
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かわち野第四集 野牛と松坂牛 滝尾 鋭治  私は十月の半ばに長女と二人で、静岡県にいる叔母に会いに行ってきた。叔母は父の弟の妻で今年九十歳になる。一方、叔父は二十年ほど前に他界した。その後叔母は、同県で岡野内科医院を開業した長男に身を寄せる...
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かわち野第四集 掌(てのひら)の小説・高齢者小学校 滝尾 鋭治  ぼくは大阪府の南部のK市に住んでいる。この街の市長は元は教育者で、他市の私立高の校長を務めていたと市の広報で読んだ事がある。しかしちょっくら変わり者らしく、各地区の公民館に高...
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かわち野第四集 生きるって素晴らしい! 鈴木 幸子  平成二十六年九月に、夫は八十四歳で亡くなり先月九月に三回忌を終えた。突然涙がでて暗い穴の中に落ちていくような不安感はなくなったが、生きていく気力がわかずにいた。 夫は、七十歳で胃癌になり...
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かわち野第四集 タモリへの思い 坂下 啓子  「笑っていいとも」という番組があった。お昼にテレビをつけると、ウキウキ、ウオッチングのテーマ曲に合わせてイケメンの青年が踊りだす。フジテレビのお昼の1時間、全局30ネットで月~金曜日、何と198...
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かわち野第四集 青天の霹靂 坂下 啓子  「大丈夫やった!」。癌を疑ってCTを撮りに行った夫が帰って来て言った。私は「よかったー」と、両手を挙げた。「CTよーく診てもお腹になにも写ってないって」。私はドキドキして待っていたので本当に嬉しかっ...
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かわち野第四集 二度わらし 黒江 良子  それは一本の電話で始まった。 二〇一五年七月二四日午前一〇時過ぎ、電話が鳴った。夫の長姉が住んでいる倉敷のマンションの住民からであった。「黒江先生の新聞受けに五日間、新聞がたまったままです。電話を掛...