銀木犀と父

第七集

かわち野

かわち野第七集 銀木犀と父 林 和子  二〇一九年、秋。 早朝、新聞を取りに玄関の戸を開けると、かすかな匂いが漂ってきた。玄関横の銀木犀に目を向ければ、葉蔭に白い花が咲いている。 この時期、金木犀はその匂いと色で探すとすぐに見つかるだろう。...